【ソウル=桜井紀雄】韓國の情報機関、國家情報院は1日までに、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働黨委員長の叔父で駐チェコ大使だった金平一氏(ピョンイル)(65)が最近、北朝鮮に帰國したと國會で報告した。國會情報委員會に出席した議員らが明らかにした。平一氏は、正恩氏の父、金正日(ジョンイル)総書記との権力爭いに敗れ、30年間以上海外を転々としてきた。
平一氏は、正日氏の異母弟だが、北朝鮮を建國した父親の金日成(イルソン)主席と風貌も似て一時、後継者の有力候補と目されていた。だが、正日氏との後継者レースに敗れ、1988年に駐ハンガリー大使に赴任したのを皮切りに、歐州の複數の大使を務め、國內の要職に返り咲くことはなかった。
2017年2月に正恩氏の異母兄、金正男(ジョンナム)氏がマレーシアで殺害される事件の前には、歐州の脫北者団體が平一氏を亡命政府の首班に擔ぎ上げようとする動きがあったが、平一氏は一貫して正恩氏に恭順の意を示してきたとされる。
正恩政権が、平一氏が海外にいても「血統」を利用しようとする勢力が現れるだけで、國內に戻しても、もはや正恩氏の権力基盤に影響を及ぼす恐れはないと判斷した可能性がある。